2011年11月25日

すい臓がん①(セレンクリニック名古屋で行われた症例)

抗がん剤治療に免疫治療を併用する事により、顕著な改善効果がみられた症例です。治療後は上腹部の痛みが消失し、趣味の登山にも出かけられるようになりました。
詳細はこちらからダウンロードできます。

患 者:

60歳代、女性

診断名:

膵体部癌:(T4、N0、M0)(*1)、 Stage Ⅳa(*2)

経 緯:

平成22年8月上腹部と背中に痛みが出現し、最寄りの病院を受診しました。検査の結果、膵体部がんと診断されましたが、切除は難しいと判断され、同年9月より抗がん剤治療を始めました。抗がん剤治療に合わせて樹状細胞ワクチン療法を希望したため、同年11月より樹状細胞ワクチン療法を開始しました。


すい臓がん症例1
治療を行ったところ、矢印部分にあるがんが小さくなりました。
結 果:

抗がん剤治療と樹状細胞ワクチン療法を併せて行うことにより、矢印部分にあるがんが小さくなりました。治療前に比べて体内の免疫細胞の数が増え、抗がん剤治療だけではなく樹状細胞ワクチン療法の効果もあった可能性が示唆されます。


(*1)
TNM分類:がんの進行度を表す指標の一つ。
        がんの大きさはどのくらいか(T)、周囲のリンパ節にどのくらい転移しているか(N)、離れた臓器への転移はあるか(M)。
T4:がんが膵臓周囲の血管、神経、あるいは臓器などに浸潤している。
N0:リンパ節転移なし。
M0:遠隔転移なし。

(*2)
Stage I:がんの大きさが2cm以下で膵臓の内部にとどまっている状態。
Stage II:: がんは膵臓の内部にとどまっているが、大きさが2cm以上ある、あるいは周囲のリンパ節に転移がある状態。
Stage III:がんは膵臓の外へ少し出ているが、リンパ節に転移はない、あるいは周囲のリンパ節までの転移に限られている状態。
       または、がんは膵臓の内部にとどまっているが、転移は遠くのリンパ節にまである状態。
Stage Ⅳa:離れた臓器まで転移が見られないが、がんが周囲の臓器や器官を巻き込んでいる。
Stage Ⅳb:離れた臓器まで転移が見られる。あるいはがんがIVaよりも遠くの臓器や器官を巻き込んでいる。


2011年11月24日

樹状細胞ワクチン療法7回完遂例の評価

樹状細胞ワクチンを7回完遂した症例のうち、2コース以上投与4例、判定不能5例、再発予防投与2例を除いた樹状細胞ワクチン7回完遂20例の臨床成績を調べた。CR4例、PR4例、SD9例、 PD3例となり、奏効率(CR+PR)40%、病勢制御率(CR+PR+SD)85%だった。
樹状細胞ワクチン療法1セット完了時の生存曲線

樹状細胞ワクチン療法1セット完了時の治療結果

樹状細胞ワクチン7回完遂20例の1年生存率を奏効率別にみると、CRでは75%、PR症例では100%、SD症例で67%、PD症例では33%だった。PD症例以外は、長期生存を期待できる可能性が考えられた。 樹状細胞ワクチン療法1セット完了時の治療結果

樹状細胞ワクチン療法1セット完了時のがん種別治療結果

樹状細胞ワクチン7回完遂症例の1年生存率を疾患別に調べたところ、大腸癌と腎癌(100%)、胃癌(86%)、乳癌(83%)などが良好だった。一方で肺癌(57%)、卵巣癌(50%)、膵癌(35%)だった。胆道癌は最長追跡記録が9ヶ月だが、死亡例は未だ認められていない。進行大腸癌や腎癌などは、樹状細胞ワクチン療法が有効である可能性が考えられた。 樹状細胞ワクチン療法1セット完了時のがん種別治療結果

考察と結語

【考察】
①樹状細胞ワクチン療法の効果を判定する手法として、RECIST以外にOSやPFSを検討していく必要があると思われる。
②奏効した症例では、比較的早期の「再燃」を少なからず認めた。これは、「ワクチンとしての機能」が不十分であることを示唆している。樹状細胞のメモリー機能のアッセイ法を確立することと共に、これも検討課題である。
③樹状細胞ワクチン療法に対する併用療法の臨床効果を明確化するために、今後、前向き試験による検討が必要と考えられる。

【結語】
WT1、MUC1などを用いた樹状細胞ワクチン療法は、標準治療併用で臨床的に有用な可能性が示唆された。しかしながら、PS不良例の樹状細胞ワクチン療法は、治療完遂率が低かった。




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