九州地方の「樹状細胞ワクチン療法」専門クリニック。免疫療法・がん治療は当院にご相談ください。
2007年05月08日
肺がんの症例報告
既に転移を有し、胸水貯留もある進行した肺がん(腺がん)の患者様に治療を行ったところ、肺がんの著名な縮小を認めました。

CT画像にて、肺がんの著明な縮小が認められます(黄色い円)。また同がんについて、PET検査において「生きたがん細胞は認めず、瘢痕である」との所見が得られました。さらに、胸水、肝転移も消失し、リンパ節転移、骨転移は著明に縮小しました。
Introduction
進行した肺がんは、発見された時には既に手術の適応にならない場合が多く、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療が行われるが、その奏功率は高くない。特に、肺がんの中で最も症例数の多い腺がん(非小細胞がんの一つ)は、抗がん剤や放射線が奏効しにくいがん種として知られている。
また、肺がんに対する抗がん剤は、一部を除いて強い副作用を示すものが多く、患者様のQOLを著しく低下させることも少なくない。当然予後も不良である(第IV期非小細胞がんの1年生存率50~60%、2年生存率25%)。
我々は、転移を有し、胸水貯留も認め、標準の抗がん剤も無効、あるいは副作用のために施行できなくなった、進行した第IV期肺腺がんの患者に対して、抗がん剤治療を途中で中止、あるいは副作用の少ない経口(飲み薬)の抗がん剤に変更し、当院の姉妹クリニックにて樹状細胞ワクチン療法を行ったところ、良好な治療効果を得たので報告する。
Case
60歳代、男性。
診断名 : 肺がん(腺がん、StageIV)、両側肺門リンパ節転移、胸膜転移、肝転移、骨転移(椎骨、仙骨)
既往歴 : 特記事項なし。家族歴:特記事項なし。
現病歴 : 上記診断のため手術適応なし。
2007年9月~ 化学療法(TS-1+カルボプラチン+パクリタキセル)を3クール
2008年1月~ TS-1+カルボプラチン → 副作用のため経口(飲み薬)抗がん剤TS-1のみに変更
腫瘍マーカーの減少を認めるも、CTにて腫瘍増大、多発性に転移を認めた。
2007年3月~ 人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法を1クール(5回投与)施行した。
同年6月に撮影したCT画像にて、肺がんの著明な縮小を認めた。同がんについて、PET検査において「生きたがん細胞は認めず、瘢痕である」との所見が得られた。さらに、胸水、肝転移も消失し、リンパ節転移、骨転移は著明に縮小した。

Discussion
人工抗原樹状細胞ワクチン療法とは?
がん細胞は正常細胞にはない特徴的な印(がん抗原)を持っている。
人工的に合成したがん抗原(人工抗原)を試験管内で樹状細胞にパルス(取り込ませること)して、それをワクチンとして患者様に皮内投与する治療法。
投与された樹状細胞は、がん抗原をリンパ球(主にTリンパ球 : がんを攻撃する兵隊)に教え込む。がんの印を教えられたリンパ球は、全身を廻り、がん組織を見つけて攻撃するのである。過去の世界中からの報告、我々の経験も含めて、重篤な副作用はない。
最近、抗がん剤と免疫療法との併用について学会等でも議論されているが、特にジェムザールやTS-1は免疫療法と非常に相性の良い抗がん剤であるといわれている。
今回のケースは、通常よく使用される副作用の強い抗がん剤を数種類使用するも効果なく、腫瘍の増悪、さらなる転移を認めた症例に対して、比較的副作用の少ない経口(飲み薬)の抗がん剤TS-1単独に樹状細胞ワクチン療法を併用し、腫瘍の消失ならびに著明な縮小効果を認めた。
低用量の抗がん剤治療(メトロノーム化学療法)は、重特な副作用がなく、免疫力を下げずに、がんに栄養を与える「腫瘍血管」を攻撃して、がんを「兵糧攻め」にする。さらに、低用量抗がん剤は、悪玉免疫(制御性T細胞等)を抑えることにより、がんを攻撃する免疫(抗腫瘍免疫)を上げて、樹状細胞ワクチンが働きやすい環境を作ることも報告されている。
今回の抗がん剤治療が「メトロノーム化学療法」の範疇に入るか否かは議論の余地があるが、副作用が少なく、継続可能な用量の経口抗がん剤TS-1と樹状細胞ワクチン療法の併用で、全身に転移を伴う肺腺がんに対して著効が認められた症例である。
樹状細胞ワクチン療法と+TS-1の併用療法が、全身に転移を伴う、他治療無効の肺腺がんに対して、安全で治療効果の高い治療法であることが強く示唆された。
樹状細胞ワクチン療法
アイマックスがん治療
大腸がんの症例報告
再発・転移をおこした大腸がんで、抗がん剤の副作用が強く、治療を断念していた症例です。樹状細胞ワクチン療法によってがんの縮小と顕著な痛みの軽減を認めました。
赤い円で囲まれて光っているところが、再発大腸がんです。治療後の画像では、光っているところが消失し、その部分の痛みも改善しました。(PET-CT画像)

局所再発および肺転移を有する進行大腸がん/直腸がん(ステージⅣ)の患者様に対して、最先端の放射線治療である定位照射(定位放射線照射。高い精度でがんの部分だけに集中して放射線照射する)と樹状細胞ワクチン療法との併用で、がんの消失または縮小、ならびにがん性疼痛の緩和などのQOLの著しい改善を認めた症例
Introduction
がんの標準治療(手術、化学療法、放射線療法を用いた保険に適応になっている標準的ながん治療)が無効であった進行大腸がん/直腸がんは、一般的には他に治療の選択肢が無いのが現状である。
本症例は、副作用のため抗がん剤治療を拒否し、標準治療の選択肢がなくなった、局所再発、骨盤内リンパ節転移、ならびに多発肺転移を認めた進行大腸がん/直腸がんの患者様である。連携する医療機関において、定位照射(定位放射線照射)でがんをアポトーシスに誘導した後に樹状細胞ワクチン療法を開始、局所再発部位および骨盤内リンパ節の消失または縮小、がん性疼痛の緩和などQOLの著しい改善を認めた。
Case
60歳代女性。家族歴は特記事項なし。
2003年9月町のがん検診で、大腸がん/直腸がんを指摘される。
2003年10月S病院にて腫瘍摘出術。術後に、抗がん剤治療(UFT+少量CPT11)を施行。
2005年12月右側下肢神経痛出現。CT、MRI上、大腸がん/直腸がんの局所再発、肺への転移を指摘される。抗がん剤治療を行うも、副作用が強く治療を断念。
2006年1月知人から、樹状細胞ワクチン療法を目的に当院の姉妹クリニックを紹介される。この時、局所再発による右側下肢疼痛により歩行困難、その他強い倦怠感を認めているという状態であった(PS1※)。
2006年3月樹状細胞ワクチン療法を行うための準備として成分採血を行い、樹状細胞の培養を開始した。
2006年4月がんの局所再発部位と骨盤内リンパ節転移部位に定位照射(定位放射線照射)を施行。
2006年4月樹状細胞ワクチン療法を開始。協力医療機関にて、CTガイド下で局所再発部位に対して4回樹状細胞を投与。
大腸がん/直腸がんのPET-CT画像
左図 2006.2 樹状細胞ワクチン療法実施前。
右図 2006.7 樹状細胞ワクチン療法終了後。がんの再発部位の消失。
Discussion
がんの部位に直接樹状細胞を注入し、そこで免疫反応を賦活させる樹状細胞ワクチン療法(局所樹状細胞ワクチン療法)は、生体内で、がん組織に特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、治療効果を得ようとするがん治療である。樹状細胞はがんに注入された後、近傍のリンパ節へ移動し、T細胞に抗原を提示する。T細胞はこれを認識し、CD8+T細胞はCTLに、CD4+T細胞はヘルパーT(Th)細胞に分化しがん組織を構成する細胞の拒絶に働く。
近年、患者様の末梢血より試験管内で樹状細胞を誘導する方法が確立され、樹状細胞ワクチン療法は多くの施設で試みられるようになった。これまでのがん免疫療法の主流であった非特異的免疫療法(BRM療法、サイトカイン療法、活性化リンパ球療法など)と樹状細胞ワクチン療法との大きな違いは、樹状細胞によりがん組織に特異的ながん関連抗原を提示されたT細胞は、(1)認識した抗原特異的に殺細胞作用を発現する事、(2)全身に波及し遠隔部位の腫瘍にも効果を及ぼす事、(3)さらに重要なことは自己がん組織に含まれる患者様特有のがん関連抗原を記憶したT細胞による免疫学的監視機構により再発・後発転移の予防効果が期待できる事である。樹状細胞ワクチン療法は、いわゆる自分のがん組織に対する効果的なワクチン療法といえる。
本症例の経過であるが、樹状細胞ワクチン療法終了後のPET-CTにて、樹状細胞を投与した局所再発部位のがんは消失、樹状細胞を投与していない骨盤内リンパ節転移も消失した。また、腫瘍マーカーであるCEAは治療前18.4→治療後2.6と著明な低下を認めた。一方、肺転移はMixed Responseであった。
PS※については樹状細胞ワクチン療法開始後、2006年5月頃より0となった。初診時は一人で来院するのが困難な状況であったが、治療開始以降、全身状態は著しく改善し、下肢のがん性疼痛も消失、通常歩行が可能となり、一人で通院することがまったく問題なくなるまで改善した。樹状細胞ワクチン療法による副作用は、注入部の炎症による痛みの他、特に大きなものは認められなかった。樹状細胞ワクチン療法終了後も、大腸がん/直腸がんの進行及び再発は良好にコントロールされており、日常生活に何の支障もなく、外来フォローアップされている。
以上、本症例は放射線療法と樹状細胞ワクチン療法を併用することにより、副作用を最小限に抑え、また双方の治療の強みを発揮することができた一例である。
※PS : パフォーマンスステイタス
患者様の全身状態の指標。0(無症状・社会生活可能)-4(終日就寝・介助が必要)まで分けられており、進行がんの予後(病気に罹った後の経過)に関係する要素となっています。
胃がんの症例報告
手術・抗がん剤いずれも無効であった患者様で、多発性のリンパ節転移、肺転移、肝転移を認める進行胃がんの症例です。
樹状細胞ワクチン療法+低用量の化学療法によって、胃がんの縮小と転移部位のがんの縮小を認めました。
がんの部位に直接樹状細胞を注射したところ、著しいがんの縮小を認めました(内視鏡画像)。
全身的に転移があるために手術ならびに放射線治療が不能で、さらに化学療法(抗がん剤治療)が無効であった進行胃がんの患者様に対して、当院の姉妹クリニックにて樹状細胞ワクチン療法を実施したところ、原発部の著しい縮小に加えて、転移部位の消失・縮小、それに伴う著しいQOLの改善を認めた症例。
Introduction
全身的に転移を有する進行胃がんは、手術および放射線治療を行う事ができず、化学療法(抗がん剤治療)が主たる治療になる。
しかし、化学療法(抗がん剤治療)が奏効しない場合も多く、その場合は極めて予後不良である。
今回、肺転移、肝転移、多発性リンパ節転移を有し、手術、放射線治療の適応がなく、化学療法(抗がん剤治療)の効果もなくなった進行胃がんの患者様に対して、局所樹状細胞ワクチン療法および低用量の経口抗がん剤TS-1の併用療法を施行し、原発部の著しい縮小のみならず転移部位の消失・縮小が認められた症例を報告する。
Case
70歳代、女性。
診断名 : 胃がん、肺転移、肝転移、多発性リンパ節転移。
既往歴 : 特記事項なし。家族歴:特記事項なし。
現病歴 : 上記診断のため、手術、放射線治療ともに適応なく、化学療法(抗がん剤治療)を行うも、徐々に効果がなくなり、がんの増悪を認めたために、免疫療法を希望して、平成19年7月、当院の姉妹クリニックに来院した。
主治医より、低用量の経口抗がん剤TS-1による治療を施されていたため、TS-1はそのまま継続してもらい、局所樹状細胞ワクチン療法を併用することにした。
同年8月より、2週間に1回の間隔で、合計4回、内視鏡ガイド下、胃の原発腫瘍部に樹状細胞の局所投与を行った。
同治療終了後の内視鏡検査にて、胃の原発腫瘍の著しい縮小が認められた。さらに、CT検査において、肺転移は縮小し、多数認められていたリンパ節転移は、消失、縮小、進行停止が存在し、少なくとも増大したものはなかった。肝の転位病巣は、術後のCTでは認められず、同治療により消失したと考えられた。副作用は、NIC共通毒性基準によるgrade 3以上の重篤なものは認めなられなかった。
この後、患者様は主治医のもとで、引き続きTS-1を服用しており、良好な経過をたどっている。
Discussion
局所樹状細胞ワクチン療法とは?
がん組織に注入された樹状細胞は、その場でがん細胞を取り込み、そのがんの印(がん抗原)をリンパ球(がんを攻撃する兵隊)に教える。がんの印を教えられたリンパ球は、全身を廻り、原発部のがんのみならず、転移したがん組織も攻撃することが出来る。
低用量の抗がん剤治療(メトロノーム化学療法)は、重篤な副作用がなく、免疫力を下げずに、がんに栄養を与える「腫瘍血管」を攻撃して、がんを「兵糧攻め」にする。さらに、低用量抗がん剤は、悪玉免疫(制御性T細胞等)を抑えることにより、がんを攻撃する免疫(抗腫瘍免疫)を上げて、樹状細胞が働きやすい環境を作ることも報告されている。
すなわち、低用量抗がん剤+樹状細胞ワクチン療法の併用療法は、極めて相性の良い、相乗効果が期待できる治療法である。
本症例では、樹状細胞を局所投与した胃の原発腫瘍のみならず、転移腫瘍にも効果が表れ、肺転移、リンパ節転移の消失縮小、さらには肝転移の消失まで認められた。本症例のような非常に進行した転移を伴うがんで、低用量TS-1のみで、これだけの効果が得られることは考えにくく、樹状細胞ワクチン療法との相乗効果の結果であると考えられる。
樹状細胞ワクチン療法と低用量抗がん剤治療の併用療法が、全身的に転移を伴い、標準治療無効の、極めて進行した胃がんに対しても、安全で治療効果の高い治療法であることが強く示唆された。
食道がんの症例報告
手術ができなかった進行食道がんで、放射線治療、抗がん剤が無効であった症例です。
樹状細胞ワクチン療法によってがんの縮小と飲食の改善を認めました。
赤い矢印のところが、食道がんです。樹状細胞ワクチン療法後、がんの肉眼的消失と、それによって閉塞されていた食道が改善しました。青い矢印のところが、改善した食道です。(内視鏡画像)

黄色い円で囲まれて光っているところところが、食道がんです。樹状細胞ワクチン療法後に顕著ながんの縮小を認めました。治療後の画像では、光っているところがありません。(PET-CT画像)

Introduction
標準治療無効の進行食道がんは、一般的には他のがん治療の選択肢がなく予後は不良である。手術切除不能で、放射線治療、化学療法も無効であった、進行食道がんの患者様で、樹状細胞ワクチン療法を開始、局所再発部位の消失およびそれによる通過障害の改善などQOLの改善を認めた症例を報告する。
Case
80歳代男性。
既往歴 : 平成14年咽頭がん(放射線治療、現在問題なし)、平成15年舌がん(手術、現在問題なし)
家族歴 : 特記事項なし。
診断名 : 食道がん、肝転移
平成18年3月 食道がん、肝転移を指摘される。化学療法を施行し、肝転移巣は消失するも、原発巣には効果がなかったため、さらに放射線治療(total 60Gy、~10月まで)および化学療法を実施。それでも原発巣に対して効果はなく、他のがん治療選択肢が無いとの事で、免疫療法を希望して11月に当院の姉妹クリニックに来院となった。この時、患者様は既に食道がんの増大による通過障害のため、食事摂取が困難となっており、この通過障害の改善を強く希望されていた。
11月アフェレーシス(成分採血)を行ない、樹状細胞を誘導。
12月~平成19年1月にかけて、2週間に1回、計4回、内視鏡下に局所樹状細胞ワクチン療法を施行した。
施術後、内視鏡にて食道の腫瘍塊の消失、PET-CTにて食道がんへのFDG集積の消失が確認された。さらに、食道通過障害は著しく改善し、食事の経口摂取が可能となり、QOLの著しい改善が認められた。
同 PET-CTにおいて、肝転移巣の再発が認めらており、それについては別途治療の検討をしている。副作用は、NIC共通毒性基準によるgrade 3以上の重篤なものは認めなられなかった。
以上、局所樹状細胞ワクチン療法が手術切除不能、放射線治療、化学療法無効の難治性食道がんにおいて、安全かつ有効な治療法となる可能性が強く示唆された
Discussion
がんに直接樹状細胞を注入し、そこで免疫反応を賦活させる局所樹状細胞ワクチン療法は、生体内で、がん組織に特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、治療効果を得ようとするがん治療である。
がん組織に注入された樹状細胞はがん細胞を貪食した後、近傍のリンパ節へ移動し、T細胞に抗原を提示する。T細胞はこれを認識し、CD8+T細胞はCTLに、CD4+T細胞はヘルパーT(Th)細胞に分化しがん組織を構成する細胞の拒絶に働く。
近年、患者様の末梢血より試験管内で樹状細胞を誘導する方法が確立され、樹状細胞ワクチン療法は多くの施設で試みられる様になった。これまでのがん免疫療法の主流であった非特異的免疫療法(BRM療法、サイトカイン療法、活性化リンパ球療法「LAK療法」など)と樹状細胞ワクチン療法との大きな違いは、樹状細胞によりがん組織に特異的ながん関連抗原を提示されたT細胞は、(1)認識した抗原特異的に殺細胞作用を発現する事、(2)全身に波及し遠隔部位の腫瘍にも効果を及ぼす事、(3)さらに重要なことは自己がん組織に含まれる患者様特有のがん関連抗原を記憶したT細胞による免疫学的監視機構により再発・後発転移の予防効果が期待できる事である。
膵がんの症例報告
膵がんと診断されたときに、すでに転移(肝臓)を認めたため手術ができなかった症例です。抗がん剤治療にて一部はがんが縮小したものの、それ以上の変化がなく副作用を認めたため、抗がん剤を減らして様子をみていました。そのタイミングで樹状細胞ワクチン療法を行ったところ、画像上、膵がんの原発部位と肝転移の消失と、腫瘍マーカーの著しい低下を認めました。
黄色い円のところが、膵がんです。樹状細胞ワクチン療法終了後、画像上、がんが消失(光っている部分がなくなっています)しています。(PET-CT画像)

転移があり、手術が適応にならない進行した膵がんは、5年生存率が0%と極めて予後が悪い。ジェムザールやTS-1などの抗がん剤治療が期待されているが、その効果も満足できるものではない。今回、肝臓に転移があるために手術が不可能で、さらにジェムザールやTS-1を用いた化学療法(抗がん剤治療)でも満足できる治療効果がえられなかった進行した膵がんの患者様に対して、同じ抗がん剤治療(ジェムザール+TS-1 : 副作用のため減量)に、当院の姉妹クリニックの樹状細胞ワクチン療法を併用したところ、原発部ならびに肝の転位腫瘍の消失が認められた症例を紹介する。
Introduction
膵がんは消化器がんの中でもっとも予後不良である。
日本でのがんによる死因として(がん統計’02.財団法人がん研究振興財団)、男性では第1位に肺がん、2位胃がん,3位肝がん、4位大腸がん、続いて第5位に膵がんが来ており、女性では,第1位胃がん,2位大腸がん、3位肺がん、4位乳がん,5位卵巣がんに続き、第6位に膵がんがくる。
膵がんの発生率を考えると,その予後の悪さが明確であるといえる。
予後不良の原因としては,早期発見が困難であることや,周囲への浸潤や,遠隔転移を伴うケースが多いことがあげられる。
転移を有する進行膵がんは、手術によってがんを取り除くことができないため、化学療法(抗がん剤治療)が主な治療になる。しかし、切除不能(手術できない)の膵がんは5年生存率が0%(膵癌全国登録調査報告.膵臓 16 : 115~47, 2001)と極めて予後不良である。
肝転移を有し、手術の適応がなく、化学療法でも満足いく効果が得られなかった進行膵がんの患者様に対して、同じ抗がん剤治療に人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法を併用することにより、PET-CTにおいて、原発部ならびに肝転移巣において明らかながん組織が検出できなくなり、腫瘍マーカーも正常化した症例を報告する。
Case
60歳代、男性。
診断名 : 膵がん、肝転移(T4N0M1)ステージⅣ
既往歴 : 特記事項なし。家族歴:特記事項なし。
現病歴 : 上記診断のため手術適応なく、2007年4月~ ジェムザール(1400mg;1日目と8日目)+TS-1(2週投与1週休薬)による化学療法を2コース施行した。その評価は、原発(膵臓)の腫瘍のみ「少しだけ縮小した」(マイナーレスポンス)というものであった。
2007年6月~ 当院の姉妹クリニックにおいて、上記化学療法(ジェムザール+TS-1;副作用のため減量して使用)に加え、人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法を併用することにした。
同年6月~10月の間に、人工抗原樹状細胞ワクチン療法1クール(7回)施行。さらに、患者様の希望により、2クール目を2007年12月~2008年5月に施行し、8回樹状細胞ワクチンの投与を行った。
2008年5月にPET-CTを施行したところ、膵臓ならびに肝臓においても明らかな腫瘍の存在は認められなくなり、他に新たな病変も認めなかった。
治療前に、3269 U/mlであった腫瘍マーカー(CA19-9)は、治療後は27.5U/mlと著しく低下し、基準値以下となった。樹状細胞ワクチン療法による重篤な副作用は認められなかった。
この後、外来にて経過観察し、必要であれば、6ヵ月後を目安に、本樹状細胞ワクチン療法の効果を維持するための追加投与を行う予定である。
Discussion
人工抗原樹状細胞ワクチン療法とは?
がん細胞は正常細胞にはない特徴的な印(がん抗原)を持っている。
人工抗原樹状細胞ワクチン療法とは人工的に合成したがん抗原(人工抗原)を試験管内で樹状細胞にパルス(取り込ませること)して、それをワクチンとして患者様に皮内投与する治療法である。
投与された樹状細胞は、がん抗原をリンパ球(主にTリンパ球 : がんを攻撃する兵隊)に教え込み、がんの印を教えられたリンパ球は、全身を廻り、がん組織を見つけて攻撃するのである。
過去の世界中からの報告、我々の経験も含めて、重篤な副作用が起きることはごく稀であり、安全な医療といわれている。
最近、抗がん剤と免疫療法との併用について学会等でも議論されているが、特にジェムザールやTS-1は免疫療法と非常に相性の良い抗がん剤であるといわれている。
低用量の抗がん剤治療(メトロノーム化学療法)は、重篤な副作用がなく、免疫力を下げずに、がんに栄養を与える「腫瘍血管」を攻撃して、がんを「兵糧攻め」にしたり、悪玉免疫(制御性T細胞等)を抑えたりすることにより、がんを攻撃する免疫(抗腫瘍免疫)を上げて、樹状細胞が働きやすい環境を作ることが報告されている。
今回の抗がん剤治療は「メトロノーム化学療法」の範疇には入らないとも考えられるが、結果として、減量した抗がん剤治療と樹状細胞ワクチン療法の併用で、極めて悪性度が高いと言われている転移を伴う膵がんに対して著効が認められた症例である。
本症例では、まず標準的なジェムザール+TS-1の化学療法が施行され、マイナーレスポンス(原発部のわずかな縮小)の評価であった。その後は副作用のために抗がん剤の量を減らさざるを得なかったが、この時に樹状細胞ワクチン療法を合わせることにより著明な治療効果が得られたわけであり、両者の相乗効果であることが強く示唆される結果となった。
まとめ
樹状細胞ワクチン療法と比較的低用量のジェムザール+TS-1の併用療法が、肝臓に転移を伴い切除不能の進行した膵がんに対して、安全で治療効果の高い治療法であることが強く示唆された。
乳がんの症例報告
手術ができなかった進行乳がんで、放射線治療、抗がん剤が無効であった症例です。樹状細胞ワクチン療法によってがんの転移の消失・縮小を認めました。
光っているところところが、肝臓に転移した乳がんです。抗がん剤治療に樹状細胞ワクチン療法を加えたところ、画像上、がんがきれいに消失しました。
乳がんの手術後、肝臓および骨に転移を認め、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤治療)を行うも奏効せず、さらなる手術あるいは放射線治療も適応なしということで、今後の治療法に苦慮していた症例。以前にも使用していた抗がん剤タキソールと当院の姉妹クリニックの樹状細胞ワクチン療法を併用する事により、抗がん剤との相乗効果が認められ、肝転移の消失、骨転移の著しい縮小、ならびに腫瘍マーカーの正常化を認めている。
Introduction
手術後再発や後発転移を認め、放射線、化学療法、ホルモン療法も無効であった進行乳がんは、一般的には他の治療の選択肢がなく、予後は悪いと言われている。
乳がんの手術後、肝臓および右第II肋骨に後発転移を認め、ホルモン療法、放射線療法、化学療法を行うも奏効しなかった症例に対して、以前にも使用していたタキソールと人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法を併用する事により、転移腫瘍の消失と縮小、さらに腫瘍マーカーの正常化を認めた症例を報告する。
Case
40歳代、女性。
診断名:乳がん術後、肝転移、骨転移(右第II肋骨)
既往歴:特記事項なし。家族歴:特記事項なし。
現病歴:平成12年6月 乳がんの診断下に、左胸筋温存乳房切除術、リンパ節郭清術施行。切除断端に腫瘍認めず、完全切除と考えられた。
手術直後より、抗ホルモン剤ノルバデックス内服
7月~12月 化学療法(CEF療法:エンドキサン、ファルモルビシン、5-FU)、6クール施行。
平成15年6月 骨シンチにて右第II肋骨、左仙腸関節に転移巣認める。
10月 左仙腸関節転移に対し放射線療法。
その後腫瘍の進展はなく落ち着いていたが、
平成18年2月 超音波、PET-CT, MRIにて、肝S2(S58)および右第II肋骨の転移が確認された。
2月~5月 タキソールを用いた化学療法を2クール行うも奏功せず。
6月~10月 タキソールと併用して、当院の姉妹クリニックにおいて、人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法を1クール(5回投与)施行した。
通常、人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法は、2週に1回x5回を1クールとするが、今回は抗がん剤タキソールとの併用プロトコールであったため、抗がん剤による樹状細胞やリンパ球へのダメージを考慮し、4週に1回、タキソールの休薬中に投与した。
術後のPET-CTにて、肝転移巣の消失と右第II肋骨の転移巣の著しい縮小を認め、さらに腫瘍マーカーも正常化した。
患者様の体が、がん抗原(がんの印)を記憶した事の目安になる、遅延型過敏反応(DTH : ツベルクリン反応のような発赤、硬結等)も樹状細胞ワクチンの3回目投与以後、陽性となり、樹状細胞ワクチン療法の効果があった事が示唆された。
重篤な副作用は認めなかった。
同治療法が標準治療無効の進行乳がんにおいて、安全かつ有効な治療法となる可能性が強く示唆された。
Discussion
人工抗原樹状細胞ワクチン療法とは?
がん細胞は正常細胞にはない特徴的な印(がん抗原)を持っている。
人工的に合成したがん抗原(人工抗原)を試験管内で樹状細胞にパルス(取り込ませること)して、それをワクチンとして患者様に皮内投与する治療法。
投与された樹状細胞は、がん抗原をリンパ球(主にTリンパ球 : がんを攻撃する兵隊)に教え込む。がんの印を教えられたリンパ球は、全身を廻り、がん組織を見つけて攻撃するのである。過去の世界中からの報告、我々の経験も含めて、重篤な副作用はない。
本症例は、手術後に、肝臓および骨に転移を認め、抗がん剤治療やホルモン療法が奏効しなかったケースである。このような場合は、複数個所に腫瘍が存在するため、さらなる手術の適応はなく、放射線治療も根本的治療にはならないため、予後は悪いと考えられている。
このケースに対して、我々はすでに近医で行われていた抗がん剤治療(タキソール)に、人工抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法を併用し、良好な治療効果を得ることができた。この時の抗がん剤タキソールは、以前にも使用され、これだけでは奏功しなかったものであり、治療効果は、樹状細胞ワクチン療法とタキソールの相乗効果によるものであると考えられる。
抗がん剤と免疫療法との併用については学会等でも議論されているところであるが、抗がん剤により、がん細胞の抗原性が上昇することや、負の免疫活性を抑制することも証明されており、それにともなって免疫療法と抗がん剤治療を適切に組み合わせることによって、眼をみはるような効果が得られることも報告されている。
本症例の治療効果から、このことを確認することができ、樹状細胞ワクチン療法と抗がん剤タキソールの併用療法が、肝臓ならびに骨に転移を伴い切除不能、他治療無効の進行した乳がんに対して、安全で効果の高い治療法であることが強く示唆された。
膀胱がんの症例報告
手術後に再発した膀胱がんで、多発リンパ節転移を認めた症例です。抗がん剤や放射線治療を行いましたが、効果を認めなかった患者様に対して、放射線療法を併用した樹状細胞ワクチン療法を実施したところ、多発転移部位の縮小と消失を認めました。
円で囲まれて光っているところが、膀胱がんの転移です。独自の放射線療法+樹状細胞ワクチン療法後に顕著ながんの縮小を認めました。(PET-CT画像)

膀胱がんの症例報告
膀胱がんの診断のもと、膀胱全摘出術後に、多発性のリンパ節転移を認め、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)も行ったが効果なく、標準治療の選択肢がなくなってしまった患者様に対して、最先端の放射線治療である定位的放射線照射(高い精度でがんの部分だけに集中して放射線を照射するピンポイント放射線照射)と樹状細胞ワクチン療法との併用で、樹状細胞投与部位のみならず、非投与部位の腫瘍の消失・縮小も認めた症例。

Introduction
手術後再発し、放射線、化学療法も効果がなかった進行膀胱がんは、一般的には他の治療の選択肢がなく、予後が悪いと言われている。
膀胱全摘出術施行後、多発性にリンパ節転移を認め、放射線治療、化学療法も行なったが効果なく、標準治療の選択肢がなくなった膀胱がんの患者様で、ピンポイントの放射線照射で、周囲の正常組織を破壊せずに、免疫力を落とすことなく、がん細胞のみを弱らせた後、当院の姉妹クリニックで樹状細胞ワクチン療法を施行し、樹状細胞局所投与部位のみならず、非投与部位の腫瘍も消失あるいは著しい縮小効果が認められた症例を報告する。
Case
40歳代、男性。
診断名 : 膀胱がん術後、多発性リンパ節転移。
既往歴 : 特記事項なし。家族歴:特記事項なし。
2002年7月 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)(pT2,G3-G2、浸潤性)
8月 膀胱全摘出術(移行上皮がん, pT3bNo)
2003年2月 骨盤内リンパ節再発のため化学療法(M-VAC)2クール
2004年3月 左右外腸骨領域リンパ節 直径30mm
4月 通常の放射線治療(領域照射)40グレイ/20回
8月 定位的放射線照射 21グレイ/3回
2005年10月 化学療法(タキソテール+ユーエフティー)2ヶ月
2006年7月 PET-CTにて傍大動脈領域リンパ節、左内腸骨リンパ節、左外 腸骨リンパ節に転移を認め、樹状細胞ワクチン療法の併用を希望して当院の姉妹クリニックに来院した。
2006年9月 左内腸骨リンパ節転移巣にピンポイント放射線照射、
10月 同リンパ節転移に対して局所樹状細胞ワクチン療法(2週に1回x4回)施行
12月撮影のPET-CTにて、局所投与部位のみならず、傍大動脈/左外腸骨の各領域のリンパ節転移巣の消失、縮小効果が認められた。
同治療法が局所投与した部位のみならず、他の部位の腫瘍に対しても効果を発揮する可能性がある事が明らかになった。
副作用は局注部位の疼痛のみで、消炎鎮痛剤でコントロール可能であった。
同治療法が標準治療無効の難治性膀胱がんにおいて、安全かつ有効な治療法となる可能性が強く示唆された。
Discussion
局所樹状細胞ワクチン療法とは?
がん組織に注入された樹状細胞は、がん細胞を取り込み、そのがんの印(がん抗原)をリンパ球(がんを攻撃する兵隊)に教える。がんの印を教えられたリンパ球は、全身を廻り、樹状細胞を注入されたがん組織のみならず、転移したがん組織も攻撃することが出来る。
ここで、がん組織中に注入された樹状細胞が効率良く、がん細胞を取り込むためには、がん細胞が傷ついている、あるいは一部死んでいることが必要である。その為に、このケースでは、最新のピンポイント放射線照射を行った。通常の放射線治療においては、周囲の正常組織も破壊してしまい、その結果がん組織の周りの免疫力を著しく低下させてしまうことから、樹状細胞が効果的に働かなくなる危険性をはらんでいる。
本症例では、ピンポイント放射線照射により、周囲正常組織をほとんど傷つけることなくがん細胞のみを弱らせておき、その部位に樹状細胞を局所投与した。投与された樹状細胞は弱ったがん細胞を取り込み、上記の如くリンパ球にがんの印を覚えさせ、相手(がん)の印を覚えたリンパ球が、全身を廻って、他の転移腫瘍にも効果を及ぼしたものと考えられた。
通常放射線治療は同一部位に一回しかできないと考えられている。しかし、樹状細胞ワクチン療法と併用する場合は、放射線のみでがんを完全に消滅させる必要はなく、「ある程度」弱らせれば良い。そのため、過去に放射線治療を受けていても、再照射が可能であるということも、この放射線免疫療法の強みである。
今回は、左内腸骨リンパ節の転移腫瘍に対して、CTガイド下に局所投与を行っている。このように、直視も触診も出来ないがんに対しても、CT,内視鏡、超音波等でガイドすることにより、安全性が確保できれば、局所投与が可能になった。この技術の発達も同治療において非常に重要である。
以上のように、当院の姉妹クリニックと提携の放射線治療医との共診で行なわれた、最新のピンポイント放射線治療+樹状細胞ワクチン療法は、他治療無効、転移を有する進行した膀胱がんに対しても、極めて有益な治療法であったと考えられる。
卵巣がんの症例報告
全身に転移(肺、骨、リンパ節、腹膜)し、手術不能な卵巣がん患者様に対して、標準的な化学療法に加えてアイマックスがん治療(放射線+樹状細胞ワクチン療法)を実施することにより、画像上、がんの消失を認めました。
青い円で囲まれて光っているところところが、全身に転移した卵巣がんです。治療後の画像では、明らかに光の部分(がんの部分)が消失しています。(PET-CT画像)

Introduction
卵巣がんは、病巣が大きくなるまで無症状のまま進行しやすく, 発見された時には既に進行がん(III、IV期)になっている場合が多い。進行卵巣がんは、転移が広範囲におよぶため、当然手術によって完全に切除することはできない。したがって手術により可能な限りがんを取り除いた後、化学療法を行なうことになる。また、開腹してもほとんど切除出来ない場合も多い。このような場合は、化学療法によりがんを小さくした後、手術によりがんを切除するという方法がとられる。
卵巣がんの化学療法としては、タキサン系およびプラチナ系抗がん剤を用いた方法が主流であり、特にタキソール+カルボプラチン(TJ)療法が第一選択として施行され、その効果は高く評価されている。しかし、多発性に転移を伴い、極めて進行した症例においては、やはりその奏効率は低下してしまう。当院の姉妹クリニックでは、発見された時、既に腹膜播種、さらに肺、骨、リンパ節に多発転移を伴い、根治的手術が不可能であった進行卵巣がんの患者様に対して、標準的な化学療法であるTJ療法に加えて定位的放射線照射+樹状細胞ワクチン療法を併用する事によって、PET-CTで術前に認められた全てのがんの転移が消失した(PET上完全治癒した)症例を経験したので報告する。
Case
女性。既往歴、家族歴 : 特記事項なし。
診断名 : 卵巣がん術後、腹膜播種、多発リンパ節転移、多発肺転移、骨転移
2006年7月 卵巣がんを指摘され、さらに精査したところ、上記診断を下された。
2006年8月 手術(原発巣の減量手術、生検術)
2006年9月~ 術後、TJ療法を開始。
2006年10月~ 残存原発腫瘍に定位的照射
照射終了後より、樹状細胞局所投与を1回/月、3回施行
2007年3月撮影のPET-CTにて、樹状細胞の局所投与部位のみならず、術前に認められた全てのがん転移病変が消失していた。
副作用は局注部位の疼痛のみで、消炎鎮痛剤でコントロール可能であった。
同治療法が、進行卵巣がんにおいて、安全かつ有効な治療法となる可能性が強く示唆された。
Discussion
卵巣がんにおいて、TJ療法は非常に有効な標準的化学療法である。
しかし、多発転移を伴った極めて進行した症例では、その奏効率も低下する。
本症例では、TJ療法の効果をさらに向上させるために、局所樹状細胞ワクチン療法を併用した。
がんに直接樹状細胞を注入し、がんに対する免疫反応を惹起させる同療法は、生体内で、がん組織に特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、治療効果を得ようとするがん治療である。
がん組織に注入された樹状細胞はがん細胞を貪食した後、近傍のリンパ節へ移動し、T細胞に抗原を提示する。T細胞はこれを認識し、CD8+T細胞はCTLに、CD4+T細胞はヘルパーT(Th)細胞に分化しがん組織を構成する細胞の拒絶に働く。
一世代前にがん免疫療法の主流であった非特異的免疫療法(BRM療法、サイトカイン療法、活性化リンパ球療法など)と樹状細胞ワクチン療法との大きな違いは、樹状細胞によりがん組織に特異的ながん関連抗原を提示されたT細胞は、(1)認識した抗原特異的に殺細胞作用を発現する事、(2)全身に波及し遠隔部位の腫瘍にも効果を及ぼす事、(3)さらに重要なことは自己がん組織に含まれる患者様特有のがん関連抗原を記憶したT細胞による免疫学的監視機構により再発・後発転移の予防効果が期待できる事である。
今回のケースも樹状細胞ワクチン療法を併用したことにより、この再発予防効果が期待できる。
近年、抗がん剤が抑制性免疫反応(主として制御性T細胞:悪玉免疫細胞)を抑える事により、相対的に抗がん免疫を増強する可能性が示唆されている。
今回の症例でも、TJ療法により、この様な悪玉免疫細胞が抑えられ、樹状細胞が効果を発揮しやすい環境が作られた可能性が高い。
さらに、当院では、樹状細胞が効率良くがん細胞を取り込める様にするために、樹状細胞投与直前に低侵襲のピンポイント放射線照射(定位的照射)を行なっている。これも、樹状細胞が効率良く働ける環境を作るために極めて重要であると考えられる。
以上のように、化学+放射線+免疫療法は、極めて有益な併用療法であると考えられる。
咽頭がんの症例報告
手術後に再発・転移し、放射線、抗がん剤が無効であった症例です。
アイマックスがん治療によって顕著ながんの縮小とがんによる痛みの軽減を認めました。
赤い円で囲まれて光っているところところが、咽頭がんです。アイマックスがん治療後に顕著ながんの縮小を認めました(PET-CT画像)

再発を繰り返し、頸部リンパ節転移を有する難治性下咽頭がんの患者様に対して、最先端の放射線治療である定位照射(定位放射線照射。高い精度でがんの部分だけに集中して放射線を照射する方法。)と樹状細胞ワクチン療法との併用で、がんの著しい縮小ならびにがん性疼痛の緩和などQOLの改善を認めた症例。
Introduction
手術後再発し、放射線、化学療法も無効であった進行下咽頭がんは、一般的には他の治療の選択肢がないと言われている。本症例は、再発を繰り返し、放射線治療、化学療法も行なったが効果なく、標準治療の選択肢がなくなった、局所再発および頸部リンパ節転移を有する進行下咽頭がんの患者様で、定位照射でがんのアポトーシスを誘導した後、当院の姉妹クリニックの樹状細胞ワクチン療法を開始、局所再発部位の消失およびがん性疼痛の緩和などQOLの改善を認めた症例を報告する。
Case
50歳代男性。家族歴 : 特記事項なし。
診断名 : 下咽頭がん、両側頸部リンパ節転移
2005年2月 上記診断にて、放射線(66Gy)、化学療法(CDDP「シスプラチン」+5FU「フルオロウラシル」)2クール施行しCR*となる。
2005年9月 再発を認め手術(腫瘍切除術(声帯一部温存)、右側頸部郭清術)
2006年2月 再々発のため手術
2006年5月 再々々発認める。K大学病院にて遺伝子治療(詳細不明)行なうも奏効せず、同年7月当院の姉妹クリニックに医療相談に訪れ、治療を開始した。
1)免疫放射線療法(定位照射+局所樹状細胞ワクチン療法) : 8月〜定位照射終了後、局所樹状細胞ワクチン療法1クール(2週に1回x4回)CTガイド下にて施行。
2)自己がん組織樹状細胞ワクチン療法:自己がん組織をパルスした樹状細胞ワクチン療法を1クール(2週に1回x5回施行。
3)活性化リンパ球療法(LAK療法) : 2週に1回点滴静注。
4)上記に加えて姉妹クリニックのBRM療法、メトロノーム化学療法を併用。
治療後PET-CTにて、照射、樹状細胞局注部の再発腫瘍はほぼ消失し、FDG集積の著しい低下が認められた(PR*)。頸部リンパ節転移巣はSD*。両側腋窩リンパ節に転移を疑わせるFDG集積が認められたが再撮影したPET-CTでは消失していた。炎症性変化であったか、あるいは樹状細胞ワクチン療法によりがん抗原(「がんの顔つき」)を記憶したTリンパ球により押さえ込まれたのかも知れない。その後再発は認めていない。肺に新病変が認められたが(PD*)、現在経過観察中でstableな状態である。この間、再発腫瘍部の疼痛は軽減しQOLの改善が認められた。NIC共通毒性基準によるgrade 3以上の重篤な副作用は認めなかった。同治療法が標準治療無効の難治性下咽頭がんにおいて、安全かつ有効な治療法となる可能性が強く示唆された
咽頭がんのPET-CT画像)

Discussion
がんに直接樹状細胞を注入し、そこで免疫反応を賦活させる局所樹状細胞ワクチン療法は、生体内で、がん組織に特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、治療効果を得ようとするがん治療である。がん組織に注入された樹状細胞はがん細胞を貪食した後、近傍のリンパ節へ移動し、T細胞に抗原を提示する。T細胞はこれを認識し、CD8+T細胞はCTLに、CD4+T細胞はヘルパーT(Th)細胞に分化しがん組織を構成する細胞の拒絶に働く。
近年、患者様の末梢血より試験管内で樹状細胞を誘導する方法が確立され、樹状細胞ワクチン療法は多くの施設で試みられる様になった。これまでのがん免疫療法の主流であった非特異的免疫療法(BRM療法、サイトカイン療法、活性化リンパ球療法「LAK療法」など)と樹状細胞ワクチン療法との大きな違いは、樹状細胞によりがん組織に特異的ながん関連抗原を提示されたT細胞は、(1)認識した抗原特異的に殺細胞作用を発現する事、(2)全身に波及し遠隔部位の腫瘍にも効果を及ぼす事、(3)さらに重要なことは自己がん組織に含まれる患者様特有のがん関連抗原を記憶したT細胞による免疫学的監視機構により再発・後発転移の予防効果が期待できる事である。樹状細胞ワクチン療法は、いわゆる自分のがん組織に対する効果的なワクチン療法といえる。
*標的病変の評価について
完全奏効(complete response; CR) :
すべての標的病変の消失。
部分奏効(partial response; PR) :
ベースライン最長径和と比較して標的病変の最長径の和が30%以上減少。
進行(progressive disease; PD) :
治療開始以降に記録された最小の最長径の和と比較して標的病変の最長径の和が20%以上増加。
安定(stable disease; SD) :
PRとするには縮小が不十分かつPDとするには増大が不十分。
唾液腺がんの症例報告
再発手術を繰り返し、抗がん剤、放射線治療に抵抗性を示して、他に治療がないと宣告された唾液腺がんの症例です。
アイマックスがん治療を開始したところ、がんの消失、および進行停止と痛み止めに用いていたモルヒネを使わなくてよくなりました。
青い円で囲まれて光っているところが、唾液腺がんです。治療後、局所に再発したがんおよびリンパ節転移はほぼ消失しました。(PET-CT画像)

青い円で囲まれて光っているところが、唾液腺がんの肺転移です。アイマックスがん治療後、観察期間約5カ月がんの進行が停止していました。(PET-CT画像)

Introduction
唾液腺がんに対しては、手術が最も有効な治療法である。しかし、放射線や抗がん剤に対しては抵抗性が強く、再発や転移を伴った進行症例では極めて予後が悪い。
本症例は、手術及び術後放射線照射の後も再発を繰り返し、抗がん剤治療も効果なく、他に治療法が無いと宣告され、モルヒネによる疼痛ケア(緩和ケア)のみを施されていた進行顎下腺がんの患者様である。原発(再発)部位に加えて頸部リンパ節と多発性の肺転移に対して自己がん組織樹状細胞ワクチン療法、また、原発(再発)部位に対しては強度変調放射線治療(IMRT)と局所樹状細胞ワクチン療法を併用し、原発(再発)及びリンパ節転移部位の腫瘍の完全緩解、並びに肺転移腫瘍の進行停止を認め、さらにそれに伴ってpain controlに成功し、1年以上服用していたモルヒネを中止する事ができ、著しいQOLの向上を認めた症例を経験したので報告する。
Case
50歳代男性。既往歴、家族歴 : 特記事項なし。
診断名 : 顎下腺がん(腺様嚢胞がん)、頸部リンパ節転移、多発性肺転移
1991年1月 右側顎下腺がんの診断のもと、腫瘍摘出術、術後UFT内服
1996年5月 口腔底に再発、再発巣の切除および術後放射線療法60Gy施行
1998年4月 肺転移、胸腔鏡補助下肺葉切除(VATS)施行。
1999年8月 口腔底に再々発、口腔底部分切除術、右頸部郭清術施行。
2001年6月 肺転移指摘される。
同年7月 2006年9月の間、下記化学療法を施行される。
Docetaxel+CDDP 3 course
Docetaxel単独 10 course
TS-1
CHC12103 (治験薬 paclitaxelのミセル)6 course
Nedaplatin 12 course
DJ927(治験薬) 2 course
Nedaplatin 6 course
再発部増大に伴う疼痛ケアのためモルヒネ製剤服用中。また、舌咽神経麻痺症状(構音障害、嚥下障害)出現。
同年10月 当院の姉妹クリニックにて受診。
11月 局所再発部より一部組織を採取し、自己がん組織樹状細胞ワクチン療法を開始。
2週間に1回x5回
同治療により再発部及び肺転移腫瘍の進行停止が認められた。
局所再発部に対しては、より積極的な治療を希望されたため、
強度変調放射線治療(IMRT)+局所樹状細胞ワクチン療法を計画した。
2007年1月 IMRT施行。1回3Gyx10回(総線量30Gy)。
2月~3月の間、樹状細胞局所投与を2週間に1回x4回施行した。
3月撮影のPET-CT所見にて、
原発(再発)腫瘍及び頸部リンパ節転移は、治療後ほぼ完全に消失し、肺転移巣は、観察期間約5ヶ月間、増殖が停止していた。
局所再発腫瘍ならびに頸部リンパ節転移巣の消失に伴い、がん性疼痛も無くなり、1年以上服用していたモルヒネを中止する事ができた。構音障害、嚥下障害も改善し、QOLの著しい向上が認められた。同療法が、放射線、抗がん剤無効、切除不能の再発・進行唾液腺がんに対して、極めて有効な治療法となる可能性が強く示唆された。
特記すべき副作用は全く認めなかった。
Discussion
一般的に、唾液腺がんは放射線・化学療法に抵抗性を示すが、増殖が緩慢なため、適切な手術が施されれば予後は比較的良い。
しかし、唾液腺がんの中でも腺様嚢胞がんは、局所浸潤能が強く、再発率が高い。加えて他の唾液腺がんと同様、放射線・抗がん剤に感受性が低いため、予後は極めて不良である。
今回の患者様も、手術後再発を繰り返しており、根治手術後の放射線や他の様々な抗がん剤も奏効せず、極めて難治性の病変であった。
本症例において、まず組織を一部採取し、自己がん組織樹状細胞ワクチン療法を施行した。自己がん組織を試験管内で樹状細胞に取り込ませ、患者様に投与する。皮内に投与された樹状細胞は速やかに近傍のリンパ節に移動し、Tリンパ球にがん抗原を提示、T細胞は自己がんの抗原を認識し、CD8+Tリンパ球はCTLに、CD4+Tリンパ球はヘルパーT(Th)細胞に分化し、がん組織の増殖を抑えたと考えられる。
さらに、局所再発部位に対して、最新のピンポイント照射法であるIMRTを施行後、同部に樹状細胞の局所投与を行なった。通常、唾液腺がんは放射線抵抗性であり、根治手術後の補助的照射程度にしか使用されない。
しかし、今回のケースでは、放射線によって、がんの細胞死を「ある程度」誘導する事ができれば、局所投与された樹状細胞がこれを貪食し、Tリンパ球にがん抗原を提示する事ができたと考えられる。
がん抗原を認識したTリンパ球は、原発(再発)部位のみならず、リンパ節転移腫瘍までも攻撃し消失させ、肺転移巣の増殖を停止させたと思われる。
さらに、現時点でTリンパ球は自己のがん抗原を記憶していると考えられ、再発予防効果も期待できる。また、IMRTだからこそ、過去にfull dose(60Gy)照射されている部位にも、さらに追加照射が可能であったという事も重要なポイントである。
以上のように、最新の放射線治療IMRT+樹状細胞ワクチン療法は、極めて有益な治療法であったと考えられる。
平滑筋肉腫の症例報告
放射線治療、抗がん剤いずれも無効で、再発・転移を繰り返し、数か月に一度手術で腫瘍を切除していた症例です。
アイマックスがん治療によってがんの進行が停止し、手術を行わなくて済むようになりました。
【平滑筋肉腫の症例報告】
多臓器転移を有する平滑筋肉種に対して、アイマックスがん治療「樹状細胞ワクチン療法と低用量化学療法(メトロノーム化学療法)」を行い、進行停止及びの再発防止を認めた症例
Introduction
平滑筋肉種は、一般的に放射線療法や抗がん剤の効果が期待でないため、手術で腫瘍を摘出するしかない。本症例は、骨、肝、肺、後腹膜、副腎に転移した進行性の平滑筋肉腫であるが、アイマックスがん治療「樹状細胞ワクチン療法と低用量化学療法(メトロノーム化学療法)」を開始後、腫瘍の進行停止及び再発防止を認め、非常に良好な経過をたどった症例を報告する。
Case
60歳代女性。家族歴は特記すべきことなし。既往歴は頸部悪性リンパ腫にて1989年腫瘍摘出術施行、1991年右乳がんにて右乳房全摘術施行されている。
2001年4月定期健診で腹部の腫瘍を指摘され、手術を施行したところ平滑筋肉種と診断。摘出術施行。
2003年10月右上腕骨病的骨折。精査したところ平滑筋肉種の再発転移と診断。摘出術施行。
2004年9月平滑筋肉種後腹膜転移を指摘され、2005年1月に摘出術施行。
2005年1月、新たに左第11肋骨、肝臓及び肺に平滑筋肉種の再発転移を指摘。4月に左第11肋骨転移性骨腫瘍摘出術、6月に肝臓の部分切除(6箇所)施行、また左副腎に転移も認めていたため左副腎も同時に摘出となった。
2005年7月に某大学附属病院医師から樹状細胞ワクチン療法を目的に当院の姉妹クリニックを紹介される。PS(パフォーマンスステイタス※) は1。2005年8月に自己がん組織をパルスした成熟樹状細胞を2週に1回のスケジュールで投与開始。合計5回、樹状細胞ワクチンの投与を行った。治療により、数ヶ月に1度に出ていた新規平滑筋肉種転移病変の出現が抑制された。また、2005年9月から、樹状細胞ワクチン療法に併用して低用量化学療法(樹状細胞ワクチン療法と相性の良い独自の化学療法 : メトロノーム化学療法)を某大学附属病院で開始している。
PSについては樹状細胞ワクチン療法開始後、2005年10月頃より0となり、初診時一人で来院するのが困難な状況であったが、以降、全く問題なく一人で外出することが可能になるまで改善した。樹状細胞ワクチン療法による副作用は特に認められなかった。樹状細胞ワクチン療法終了後も低用量化学療法(メトロノーム化学療法)は継続されているが、平滑筋肉種の進行及び再発は良好にコントロールされており、日常生活に何の支障もなく、外来フォローアップされている。
※PS : パフォーマンスステイタス
患者様の全身状態の指標。0(無症状・社会生活可能)-4(終日就寝・介助が必要)まで分けられており、進行がんの予後(病気に罹った後の経過)に関係する要素となっています。
Discussion
自己がん組織をパルスした樹状細胞ワクチン療法は、生体内で、がん組織に特異的な細胞障害性T細胞(CTL)を誘導し、治療効果を得ようとするがん治療である。樹状細胞は皮内に注入した後、近傍のリンパ節へ移動し、T細胞に抗原を提示する。T細胞はこれを認識し、CD8+T細胞はCTLに、CD4+T細胞はヘルパーT(Th)細胞に分化しがん組織を構成する細胞の拒絶に働く。
近年、患者様の末梢血より試験管内で樹状細胞を誘導する方法が確立され、樹状細胞ワクチン療法は多くの施設で試みられる様になった。これまでのがん免疫療法の主流であった非特異的免疫療法(BRM療法、サイトカイン療法、活性化リンパ球療法など)と樹状細胞ワクチン療法との大きな違いは、樹状細胞によってがん組織に特異的ながん関連抗原を提示されたT細胞は、(1)認識した抗原特異的に殺細胞作用を発現すること、(2)全身に波及し遠隔部位の腫瘍にも効果を及ぼすこと、(3)さらに重要なことは自己がん組織に含まれる患者様特有のがん関連抗原を記憶したT細胞による免疫学的監視機構により再発・後発転移の予防効果が期待できることである。樹状細胞ワクチン療法は、いわゆる自分のがん組織に対する効果的なワクチン療法と言える。
本症例においては、樹状細胞ワクチン療法開始後、1クール5回の投与で肺転移の進行の停止や数ヶ月周期で出現してきた新しい転移巣を抑えることができた。
また紹介先の医師もしくは姉妹クリニックで行われている低用量化学療法(メトロノーム化学療法)は、血管新生抑制効果に加えて、免疫学的にも制御性T細胞を抑制するという報告がなされており、樹状細胞ワクチン療法との併用により効果的に腫瘍の進行停止及び再発防止に寄与していると考えられる。
2007年05月06日
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